SESという雇用形態が日本のIT業界の多重下請け構造を支えていて、その原因の一つは解雇規制にあって、いつまで経っても日本は変わらないだろうなと思った話

SESという雇用形態が日本のIT業界の多重下請け構造を支えていて、その原因の一つは解雇規制にあって、いつまで経っても日本は変わらないだろうなと思った話

# 自分がSESをしていた頃の話

ぼくが1社目に入社したのがSESを主とする会社だった。

今だから言えるのだが、経歴詐称を強要された。

実際は、入社前に半年ほどの独学期間と(その会社で行った)研修期間3ヶ月(それも課題を渡され、それを解いてフィードバックを受ける程度のもの)だったが、マークアップエンジニアとして2年半の経験があるという設定で面接に行かされた。

面接に臨む前には、先輩エンジニアと営業の方とダミーの経歴をどう上手く話すか、質問に対してどのように返答するのかという面接の練習を行った。

できないことを「できます」と言わなければならず、経験していないのに「やってました」と言わなければならなかった。

そして、色々な企業へ面接に行かされた。それが本当にやりたい案件でなかったとしても「最初はみんなテスターからスタートするのが普通だから」と、まともなエンジニアリングの理解すらない営業の方が言うのだから笑えるが、あの頃の僕はそれに対して頭のどこかに疑問は常にあったが、そういうものなのかなと思っていた。

彼らの理屈は「SESで一番難しいのは面接で、入ってしまえばこっちのもんだから」らしい。

だが、入ってから彼らは何も困らないかもしれないが、ぼくらは大変だった。

幸いぼくの派遣先は優良企業で優しく接してもらえたことはなによりだった。だけど、その分、自分の経歴を偽らなければならなかったのは辛かったし、2年半の経験があるように見せるために平日終業後、土日も勉強に勤しんだ。

実際に経験した僕だから言わせてもらいたいが、SESは多くの人を不幸にする仕組みだ。

# そもそもSESとは何か?

ソフトウェアやシステムの開発・保守・運用における委託契約の一種であり、特定の業務に対して技術者の労働を提供する契約のこと。実質的には派遣と変わらない。

# そもそも多重下請けとは何か?

受託システム開発において、発注元企業から直接仕事を請け負った元請企業が、その仕事を分割して下請け企業に下ろし、一次請け、二次請け、三次請け、四次請け・・・と下請け企業がさらにその下請けに仕事を分割して下ろしていく、ピラミッド型の構造のこと。下の層に行くほど給与が安くなっていく。

この多重下請け構造は、企業側や発注者にとっては大変都合のよい仕組みである。しかし、構造の下の方で実際にシステムを開発している人々にとっては苦労が多く、決して「現場の開発業務をやりやすくするための仕組み」ではない。

n次請けに及ぶまでの下請け企業に仕事が下りてくるのは、「開発技術を見込まれて」ではなく「とりあえず作る人の頭数を集めるため」な場合がほとんどであり、発注する側も安ければ安いほど良いし、下請け企業も他の企業との競争の中で結果的に低価格競争に陥る。多重下請けの場合、中間の企業はマージンを抜いてから下層の下請け企業に業務を委託していくため、下層になるほど金額は安くなる。

この構造的欠陥が原因のため、末端で開発をする技術者が苦しむことになるのだ。

# アメリカではどうなのか?

日本とアメリカのIT業界の違いについて、シリコンバレーは報酬も高額で、SIerが少なく、技術者はエンドで雇用、アジャイル開発がメインである。それに対し、日本はゼネコンSIを頂点とした多重下請け構造があり、非効率で、プログラマーの立場が低い。

ただ、米国にも日本と同様の下請構造は過去あったという。日本と同様に、元請けが大規模な案件を受注し、それを2 次3次請けにシステム開発再委託するという構造であった。

# 解雇規制と労働契約法、労働基準法

では、日本はなぜ変われないのか?

問題はプロダクトを提供するエンド企業が最大時の頭数のエンジニアを継続的に雇用することは、経済的に問題があるため、それを行いたくないから。またはそれを行う必要性を感じていないから。

アメリカでは、このような場合、解雇(レイオフ等含む)を行う。日本とは違い、解雇規制が厳しくないため契約期間は長くない。日本でいうのであれば、エンド直受けのフリーランスの立場と変わらないかもしれない。

参考サイト